wah document企画 『 見 え な い 森 』 スタート。

アートプロジェクト『ひののんフィクション』の中で企画した『見えない森』が、いよいよ活動を開始しました。

『見えない森』とは、視覚障害(ほとんどの方が全盲)と知的障害を合わせて持たれる方たちと、東京都日野市の雑木林を会場にwahをするという活動です。

『見えるという概念のない世界』で、何を「おもしろい」と感じ、また実現させることができるのか。いつものwahの活動より一層、「おもしろい」の謎を参加者とともに追いかけたいという思いからこの企画につながりました。

参加者は(wahスタッフも含め)お互いに活動する仲間やその場所を活動後も永久に「見る」ことはなく、また作ったものもおそらく見られることのない活動になります。活動記録については、点字によるメモ、活動後のスケッチ、マイク音声のみで行います。wahスタッフはプロジェクト中アイマスクを装着し、センターの外観・内観、スタッフの方なども一切みることはありません。

活動の成果の一部は、11月20日・21日・27日・28日開催予定のアートプロジェクト『ひののんフィクション』にて公開する予定です。

※こちらのイベントについては詳しい内容が決定次第、報告します。

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さてさて、今日から始まった「見えない森」。早速、初日の様子。

今日はwahスタッフと視覚障害者センターの皆さんが初めて会う日。早速アイマスクをしてセンターへ。

※以下カメラ等の撮影をしないため、事後描いたスケッチを添えています。

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入って早々、センターの生徒さん(ではなく、園生というらしいですが)たち9名で結成されたバンドの練習の様子を見学させてもうことに。

メンバー全員、全盲で絶対音感を持つという脅威のバンド。

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きめ細かくて、またダイナミックな演奏。アイマスクをしているせいもあってか、音のエネルギーが自分のいる空間のほとんどを埋め尽くしているのを感じました。またバンドのファシリテーターとバンドメンバーとが感覚的でかなり繊細なやりとりを明るく活発に行っていました。ほんとにすごかった。

演奏を聞き終えて、今度はミーティングをする部屋へ施設内を20分くらいかけて移動。園長先生がアイマスクをしている僕らに、あえて施設内を想像させないように、わざとあっちこっち遠回りしたりしながら先導してくれていたようです。

アイマスクをして1時間30分ほど経ったころ、僕の頭の中では、歩いている場所や施設内の構造がどうなっているかの正解を想像するのをやめて、あてずっぽなイメージを描き初めました。

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手を引いてくれているスタッフに「今、でかいドームみたいな通路にいる?」などと、「まあ、そんなわけないか、」と思いながらも尋ねました。プロジェクト中も、終わった後も決して目で見ることのないこの場所。そこが実際、視覚的にどんな構造になってるかということに興味が薄れてきます。安全に移動したいから構造を知りたいという気持ちも入り混じっていたのか。。。

さて、続いていよいよ、視覚障害を持つ参加者たちとの対面。

みんなにどうやってこの企画を説明しようかと悩んでいたが、、、「うまい棒」などの、過去の活動事例などを紹介している最中、、

参加者の方から「なるほど、それはなかなか体験できないよい機会だな。」と言って、、

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『ほっぺたの森!』

とか、

『歌が聞こえる森!』

などなど、

いきなりアイデアが多数飛び交いました。

どういうアイデアなのか内容を聞くと、ぼくらも共感するようなおもしろいものも多数ある。いや、ほんと「おもしろい」って実に不思議。いつもは、息巻いてアイデアを出すスタッフも今日はついていくのがやっとという感じ。

一方その中で、「森でバレエをする」「アニメのショーを開く」などのアイデアが出された。先天的に見えない人が、「見える人が鑑賞することを前提としたアイデア」を出したのだが、そもそも見えるという経験が無い彼らにとって、それがどうやって理解されたのかも気になる。しかし、、思ったのは、この建造物や階段などはじめ、いろんなものが視覚できる人に扱われる為にあって、それが先天的に見えない人にとっても日常化されている。

先天的に見えないひとが、自分の顔を粘土で作った時、多くの場合、舌や歯などから作ると聞いたのを思い出した。当然外からは見えない造形物だが、見える必要がない。内側から触っていくような世界観である。そんな彼らがこの世界を創造していたらと、思いをめぐらせる。

今回は、見えない世界観の中で「おもしろい」を考え、実現するということをしたい。

ますますどんなものができるか楽しみである。

また、いくら見えない人の特性を感じても、それをただ披露することや、また、いくら彼らに手助けが必要だと感じても、それを第一にすることはないと、確認しておきたい。

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